人は彼らを妖狼族と呼んだのです。 彼らは外敵から身を守るために洞窟に身を潜めて すんでおります。 それにしてもよく見つけたものですね、滝の水流の裏側に ある洞窟に住んでいるのです。 彼らは妖の字を頂いてはいるのですが、どちらかと 言えば妖怪よりも人間に近いようです。 その証拠に集団生活を通して友情を深めたり 泣いたり笑ったりできる感性も持ち合わせているのです。 しかしながら人々は彼らを快く思わないことが多いのも 事実です。 別に妖狼族が具体的に悪さをする訳ではありません。 ただ、妖怪の仲間ということで敬遠してしまいます。 ある種規模の大きな村八分と言った所でしょう。 それによく勘違いされているのですが、 彼らはそれほど力もないし、人に出会うと 固まって動けなくなるほどに臆病な子供達です。 だからこそ皆、一致団結して寝食を共にしているのですが、 集団生活を営むには「ルール」が必要です。 それを破るとどうなるか…。 それは妖狼族のみ知るところなのです… ・ ・ ・ 滝の水をたたく音にかき消される程の幽かな声が 洞窟内を去来する。 「なあ、すまなかったよ…、 ごめんな…さい」 糾弾するように狼衣装の男達が、 悲壮な面持ちで許しを乞う少年を 取り囲む。
少年の名は鋼牙。 妖狼族の若頭…ということだけど、それは名目だけ。 権力はない。 気の弱い子が学級委員に選ばれるのと同様に 雑用係として選ばれただけ。
大家族の中でも、群を抜いて端正な顔立ちをしていて、幼く、泣き顔が特に人気であった。 だからこそみんな、意識的に彼を虐めてしまう。
しかし今日はいつもとはちょっと様子が違う。 何やら問責されている様子。 鋼牙は集団生活の「ある」掟を破ってしまったようである。
妖狼族は男社会だから、戦国時代の兵隊のように 「情の昂ぶりは、仲間同士で慰め合う」ということになっていた。 ところが鋼牙は、持て余す情欲を抑えるにはあまり若すぎる。 だから、つい、外で自らを慰めてしまったのだ。
草陰に隠れていたし、声も殺してした…はずだった。 「ぅ…ん、……はぁ…ん」 堪えきれずに漏れた、ほんの少しの吐息。 それが残酷にも見回り役を行為の現場へと誘った。 森を駆け抜けているはずの風音も空しく低調であった。 「おい、…鋼牙か? 何をしてる?!」 鋼牙はとっさのことに何等の対策とれない。 あえなく現行犯逮捕されてしまう。
理不尽なような気がするが、妖狼族の中では自慰は禁止されている。 掟なのだから仕方が無い。 したいときは、仲間を誘う以外にはないのだ。 勿論鋼牙は美人だから相手には不自由しないだろう。 よく仲間から言い寄られることもある。 しかし、鋼牙はその申し出のいずれをも断ってきた。
誰もが「色欲」のみで自分に接近してくる。 それが嫌だったからだ。 自分から誘うようなこともしないし、強姦もまた掟で禁止されていた。 だから貞操は守られていた。
また、交わりは巣の中でしか持ってはいけないという掟もある。 巣は洞窟であるため、ワンルームだ。 当然に多くの仲間達の熱い視線の中で…ということ。 だから純真な者にとって性欲処理はまことに厄介な問題である。 鋼牙のように外でこっそり「処理」せざるを得ない者も少なくない。 だが、掟である以上、破ればそれなりの罰が待っていた。
そしてその罰の殆どが「くすぐり」の刑であった。 人間よりもはるかに肌が敏感で繊細な妖狼少年達。 彼らにとって、くすぐりは非常に恐ろしいことであった。 人間に「くすぐり」は笑い話に聞こえるかもしれない。 しかし五感が鋭利な彼らにとっては致命的なほどのダメージを与える怖いものなのだ。 しかもその責め苦は全員が満足するまで終わらない。 大勢が代わる代わるくすぐりを行うので、無制限にくすぐることが可能。 可愛いくて弱い子ほど長く、激しく責め立てられる…。 「どうする?」 「やっぱりくすぐりが妥当なんじゃねぇか?」 「縄とかはあるか?」 「ひっく… や、めて…やだぁ…」 若頭の頬を幾筋もの雫が伝い落ちる。 ふるふると首を振って拒絶の意思を表示する少年。 しかし仲間達は、その反応に何等の哀れみを催すことなく むしろ楽むように、くすぐりの段取りを整え始める。 鋼牙の一連の仕草が、彼らの嗜虐心を一層強固なものにしてしまう…。 「おい、銀太、鋼牙の鎧をはずしてやれ!」 中でも大柄の男が言う。 「お、おう…」 銀太は鋼牙の親友の一人で、行動はいつも一緒。 黒髪の中央にある銀髪ががトレードマーク。 いつもは鋼牙が困ったときは何かと相談にのってくれる優しい子…だ。 ───銀太…助けてよ─── 顔を伏せ、しかし青い瞳はすがりつく様に訴える。 「ごめんな、鋼牙…」 申し訳なさそうな言葉とは裏腹に親友の目は獲物を発見した鷹のように ギラギラと輝いていた。 「こ、これを外せばいいんだよな♪」 銀太は嬉しそうにそう言い、鎧の止め具を外してやる。 そして鼻息を興奮させながら、鎧本体を少年から剥ぎ取ってしまう。 「お〜〜〜…」 白魚のように透き通った上半身が白日の下となり、思わず銀太は声を漏らした。 思っていたよりも華奢で、弱弱しく、とても長時間の責めには耐えられそうも無い…。 ──この体が狂い乱れる!── そう思うと一刻も早く責め立ててやりたいと思う。 親友であるからより一層乱れ泣く姿を見てやりたい。 銀太の手際の良さもあって、鋼牙は程なくあられもないことに。 もはや彼の素肌を獣から守ってくれるものは、ただ尻尾のついた腰巻だけ。 その中にあるはずの、男の子の大切なところを守る布も剥ぎ取られた。 「くすぐり」の刑は通常、屋外で執り行われる。 今回も、外でくすぐるという方向で話は進んだ。 緊張し、ぎこちない足取りの鋼牙を、羊飼いの犬が羊をつつくように 屋外に追いやる。 違うのは、一匹の子羊を多数の犬が追い立てている点であろうか。 「これがいいな」 さっき銀太に衣服を剥ぐように命令した大柄の男が枝振りの立派な楠の木を 撫でながら言う。 「この枝なら少少のことでは折れんだろうさ…。じゃ、縛ってやれ!」 そいつの命令どおり、鋼牙の両手は合わせるように縛られ、 そしてロープの中心は地上から少し高い枝をまたぐ。 垂れたロープの端を引っ張れば、少年はその意に反しバンザイの姿勢を強要される。 妖狼族の一人が力いっぱいロープを引っ張った。 鋼牙は必要以上に体の側面を露わにさせられる。 縄は腕に食い込み、更に上方への作用と重力が少年を天地に引き裂こうとする。 痛い、痛いからやめてと泣き叫ぶ少年。 つま先立ちで必死にこらえる脚は恐怖も相まってか、激しく痙攣している。 もう少しで中吊りという過酷な状況である。
「よし、それじゃあ、次は脚だな。 片足をひざのところで縛って 同じようにいい具合まで上げてやれ。」 大柄のボスの命令に数人が鋼牙の右ひざに縄をかける。 そして手の分とは別の枝にロープをまたがせ、端を少し引っ張る。 するとバンザイの体勢のまま、片足立ちになる。 脚は目いっぱいまで上げることはせず、ひざが90°の直角を描く程度までだ。 あまりにも無理な姿勢は気の毒というのもあるが、主な理由はそれではない。 くすぐられ、体をよじった際に覗く腰巻の奥は、なんともいい眺めなのだ。 ギャラリーにも配慮した、優しい施策である。(笑) ただ、当の本人はバランスが取りにくいし、いつ脚が攣るかも分からないという恐怖にさいなまれる。 冷や汗が少年の額に幾粒もの雫をつくる。 この状態では各部、特に腋部や腹部の筋肉が張ってしまい、こちょこちょの刺激を 必要以上にキャッチしてしまうことを鋼牙は知っている。 まだ全く責めを受けていないにも拘らず、彼の弱点はすでに悲鳴をあげ始めていた。 「ぉ、お願いします…ぅぅ〜…やっぱり許してぇぇぇ…! やだよぉぉ…!!」 体を可能な範囲で上下にゆすり、まるで子供がダダをこねるようにしてなんとか 自らの意思を伝えようとする少年。 もしもこの場に女性が居れば許してもらえる可能性があったかもしれない。 しかし周りの連中は涙と悲鳴の数だけ発奮する輩ばかりである。 彼のさっきの泣き声が合図…。 指をくねくねさせながら、明らかに定員オーバーの男達が、全く無抵抗で、 許して欲しいと必死に訴える子羊に迫りはじめる。 不意に手が一本フライングし、彼の「右脇」すれすれまで接近したかと思うと、 ぎりぎりの距離でクネクネクネ…。
「あぁっ…あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 それを見て鋼牙は狂ったような奇声を発し、反射的に防御体勢に入る。 とはいっても、目をつむり、下唇を噛んで覚悟することしかできないのだが…。 次の瞬間、彼の「左脇」に不意に衝撃が走った。 反射的に身をよじり、反対方向に身を傾ける。 「あっ! わぅあ!」 するとさっきまで右から迫っていた指のクネクネに、自らの脇を押し付けてしまう。 堪らず今度は左によじるが、そちらでもクネクネは腋を求めていた。 「あひゃひゃひゃ… や…てぇぇぇ!!! いひひひひひひぅぅ…」 必死に体を振って逃れようとする鋼牙。 「右でも左でも好きな方でいいぜ、鋼牙。」 「や、…めろぉ〜〜はひゃひゃ!ぅくく!」 左右の腋を交互に責められただけでこの反応。 あまりの弱さに、誰もが鼻息を荒くしてしまう。 本格的にくすぐると一体どうなってしまうのだろうか。 「よし、みんな、やっちゃお〜ぜ!」 「おーー!!!」 一斉にうねり狂う無数の手が鋼牙に迫る。 鋼牙の弱点である脇と脇腹の、しかも筋肉が張ってしまっているところに 一斉に指が集中する。 ざっと6人だから、12本の手がたった一人の、しかも無防備な白肌に鋭利な影響力を行使し始める。 「うううくく… あぅあああああ!!やひぇひぇ〜!(止めて!)やひぇっひぇ〜ぇ〜〜!(止めて!)」 極めて限られた範囲を、力いっぱいに体をくねらせて体を非難させようとする鋼牙。 しかし刺激を与え続けたい自由な手は、非情にも彼にまとわり付き続ける。 鋼牙は狭すぎる空間を、追っ手を伴って逃走し続けるしかない。 ──本当に苦しい。 息も殆ど出来ない。 許して欲しい。 誰でもいいから助けてよ。 犬こっろ、、、助けに来て!── 日ごろのピンチには犬夜叉が助けに来てくれる。 悔しいが、犬夜叉の方が強い。 恋敵だけど、どこか彼に頼りたい気持ちがある。 味方が一人も居ない状況だからそう思うだけかもしれない。 でも本当に限界だ。 死んじゃう! 言い忘れたが、人間でもくすぐりは執拗に続けられると 発狂し、死にいたることがある。 肌が人間よりも遥かに敏感な鋼牙ならば尚のことリアリティがある話なのだ。 「こちょこちょこちょこちょ! どうだ、鋼牙?どうだ? 苦しいか♪」 「おい、誰か脚とか下もやってやれよ!」 繊細な肉体が縦横無尽に乱れ狂う様に、野郎どもは興奮しまくりである。 「むうううっっ! ちょ!ちょ!ぉぉ…やぁ!ひゃひゃひゃ… っむ…りだから! かすれた、声にもならない泣き声を必死に絞り続ける鋼牙。 呼吸はヒートアップし続け、吸う以上に吐き出してしまうため、 肺に酸素がなかなか入ってこない。 誰の目にもすでに狼少年が限界であることは明らかであった。 「くっ、くひぃ!(苦しい!)ひひひ…くふひぃ!(苦しい!)」 大柄なくすぐりのボスは誰よりも張り切り、脇に脚に激しい責めを与え続けている。 大口を開けて必死に酸素を求め、激しくそして無駄に肢体をクネクネさせる鋼牙を見てると益々やる気が出てくる。 実はこの大柄なくすぐりのボス、密かに鋼牙に恋心を抱いていた。 彼は過去に何度も彼に交わりを持つことを懇願していた。 しかしその度に拒否され続けたのだ。 どれほど夢想したであろうか、こいつが俺の腕の中に抱かれ、乱れ泣くことを…。 状況は確かに腕の中ではない。でも、それで十分なのだ。 今、俺の目の前で鋼牙が狂い乱れている。 そう考えただけでも、俺は…。 歪んだ愛情かもしれない、でもこれが素直な気持ちなんだ。 ──もっと、もっとこの子のことを制限したい。そして涙が枯れるまで泣かしたい── 大柄の男はおもむろにくすぐり戦線を離脱すると、 近くの岩に掛けてある短冊状の白い布を手にした。 先程まで鋼牙の大切な所を保護していた褌だ。 それを丸めて彼の香りを確認すると、そのまま 受難の少年の元へと帰還する。 彼は白い短冊を広げて、鋼牙の目の前にかざした。 しかし鋼牙は状況の変化に無反応である…というよりも くすぐりの責め苦で狂っており、他の事を気に掛ける余裕が無いのだ。 非情にも無数の指が全身を、縦横無尽に引っ掻き続けている。 特にお腹から腋にかけて、駆ける様に上下する指は我慢できない。 どうして分かるのか、筋肉が痙攣してしまうポイントを探し出しては 非情にも重点的に責め立ててくる。 「ぜぇ、ぁぁははは、うっぷ、はぁ!はぁ!ひひくくく…嫌ぁ! い…ぁぁぁ!」 鋼牙が泣き声を上げ、一際大きく口を開けた。 その瞬間、ボスは先程の褌を口に噛ませて、すばやく頭の後ろで括ってやった。 少年はとっさの出来事に、判断が追いつかない。 ただ分かることと言えば、ただでさえ苦しい呼吸が、全く出来なくなってしまったということだけだ。 「む〜〜〜〜〜!!…… むぅぅぅぅ!」 くぐもった喘ぎ声が、布を通して幽かに聞こえた。 しかしそれは次第に弱まり、直ぐに止んでしまった。 どうやら今のが肺に残っていた最後の酸素であったようだ。 それでも、くすぐりは空の肺から更に空気を吐き出すことを要求し続ける。 ボスは鋼牙の顔を見て一瞬言葉を失った。 言いようの無い絶望感を湛えた藍の瞳を見たのだ。 それは助けを求める瞳とも、恐怖を訴える瞳とも違った。 動物が肉食動物に狩られ、自己の消滅を悟った瞬間に見せる独特の輝きである。 まずい し、しかし ──…美しい…── 「おい!てめーら! 何やってやがる?!」 背後の草叢より勢いよく飛び出してきた紅い物体はそう怒鳴った。 面食らった責め手達のくすぐりは一瞬ひるむ。 「ぜはぁ!ぷはぁ! はぁはぁ…」 鋼牙はこの隙に、極めて本能的に酸素を肺に掻き集める。 やっとのことで鼻も呼吸に使えることを思い出したのだ。 少し落ち着いた鋼牙の目には、「あの」少年が映っていた。 犬夜叉──?! 「おめえ…、痩せ狼だよ…な?」 全裸に近い格好で拘束され、妖狼族に苛められているのは、 明らかに群れを率いているはずの少年だった。 ただいつもの威勢とは逆に、顔は涙でくしゃくしゃで恐怖に引き攣っている。 それに加え、狼に追い詰められた小ウサギのように震えている…。 「て、てめぇら…、鋼牙を…食うのか?」 「は?」 すっとんきょうな犬夜叉の発言に、妖狼族一同脱力。 「だ、だって、てめぇら!鋼牙をそんな風に縛って、 これから裁いて食おうってんだろ!」 犬夜叉は小さい頃見た、猟師が猪を裁く光景を思い出したのだ。 「くくく、面白いことを言うじゃないか、半妖…」 くすぐりのボスが視線を犬夜叉に向けながら言い放つ。 「こいつはな、群れの掟を破ったんだ。 だからこうやって罰を与えているのさ!」 「むうぅ…ふふふ! むぅ! むぅぅぅ!」 訪問者への説明の傍ら、泣き所である腕の付け根をこちょばす。 「ふぁへ・・へ!(助けて!) ふぁへへ!!(助けて!)」 脱力しきった様子ではあるが、最後の希望である犬夜叉になけなしの力を振り絞って救出を求める鋼牙。 奈落に襲われ、どれほど危機的状況になろうとも、 いや、むしろ助けてやっても「助けなんていらねぇ!」という生意気な狼がこれである。 よほど苦しい責め苦に喘いでいることは、オツムの弱い半妖にもすぐ分かった。 「よく分かんねぇが、弱い者いじめは性に合わなくてな! 力づくでも痩せ狼を放してもらうぜ!」 犬夜叉は威嚇の意味もこめて、指をパキパキと鳴らす。 このやり取りで最も救われたのは鋼牙だ。 ──助かった…助かったよ〜── 犬夜叉は強い。 しかも今から助けてくれると言っている。 地獄に仏とは当にこのことだ。 鋼牙は心底ホッとした。 けど…。 「まあ、待て!」 ボスは犬夜叉の前に立ちはだかり、腕組みをしながら言った。 「犬夜叉、お前もくすぐりに参加しないか? 楽しいぜ?」 「な゛!」 犬夜叉は、突然の申し出に面食らった。 「バカ言うな! 俺の言ったことが聞こえなかったのか? もう一度言うぜ、は・は・し・て・や・れ!」 「まあ、まずは見てみろよ、百聞はなんとやら…だ。」 そういうとボスは仲間に今一度鋼牙を責めるよう、命令した。
「くむぅ〜〜〜〜〜〜〜!! やふぇ〜!(止めて!)」 泣き叫ぶ鋼牙に、無数の指が迫ってくる。脇に腹に刺激を与えてやろうと…。 一瞬にして全身の筋肉が緊張して痙攣をはじめる。 くすぐりを始める前の、この緊張感もくすぐりの醍醐味である。 そして白く伸びた脚は、ちょうど男の子の大切なところを無防備に するかなという程度に開脚固定されており、ちらちら覗く奥が悩ましい…。 サディストでなくても、性的な興奮を誘うシチュエーションだ。 それは犬夜叉にとっても例外ではなかった。 正直、鋼牙を責めてみたいという感情が頭をもたげてくる…。 彼の中で迷いが生じていることを、鋼牙はまだ知らない。 「どうだ? やってみるか?」 このボスの一言によって、辛うじて堪えていた犬夜叉の迷いは、より一層不健全な方へと傾く。 「い、いいのかよ?」
──え?!── 驚いたのは鋼牙。 だって救世主だと信じて疑わなかったし、 犬夜叉はそんなことをするヤツじゃないし…。
「ひ、ひふふ〜〜…(い、いぬっころ〜〜)」 力なく、不安を湛えた少年の目は、ひどく潤んでいる。 そうだよな、鋼牙にしてみれば周りに味方は皆無。 怖いんだろうな…。 犬夜叉はそう思えば思うほど、鋼牙に感情移入すればするほど、 何故か邪まな欲求が頭をもたげてくる。 弱い者いじめは好きではない。 しかしこのか弱い、無抵抗な生き物をサディスティックに責めてみたい。 この欲求は、次第に上半身・下半身に行き渡り、はけ口を求めて疼き廻る。 もはやくすぐりに参加することによってしか満たされそうもない。 可哀相だけど…、でも挑発的な裸体が妙に色っぽい鋼牙が悪いのだ。 もはや犬夜叉に迷いは無かった。
「ひふはふぁ〜〜〜(犬夜叉〜)」 目を輝かせて歩み寄ってくる犬夜叉に、鋼牙は儚い期待を伝えようとする。 しかし鋼牙の中にあるのは胸を押しつぶしてしまいそうな大きな不安だけ。 うなだれる生贄の頬を幾筋もの雫がしたたり落ちる。 もはや犬夜叉には、鋼牙の神経質そうな腋しか見えてはいなかった…。 オワリ |
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